わたしはこの小説を単純に「すごい」と思う。「我儘な女性といかにもモテなさそうな男」という形式の話を、この時代に成功させる人がいるとは、という驚きと、感銘である。
この小説に対する共感がわたしにあるわけではない。だが、この喜劇めいたおかしさを演出できるのは紛れもなく才能の類であり、こういった才筆が芥川賞を受賞することで、またひとつ新たな文学観が広まっていったものと考えると、感慨深い。
また、田辺聖子氏はのちに直木賞の選考委員を務めることとなるが、この「感傷旅行」も語りは純文学というより、大衆小説に近い。
第五十回受賞作(1963年)
わたしの評価 ☆☆
わたしの印象に残った選評 劇画化に筆がすべりすぎているところなどに疑問があるが、それをもふくめて、そこに現代的な一種の新鮮感がある(高見順)
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