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少年の橋 後藤紀一

ダイヤモンド
「少年の橋」という題名通り、これは少年を題材とした小説であるが、問題はその「語り手」としての度量で、少年の立場になって語りを行う場合、完全なる少年の視座に立たないといけない。そうでなければ、それはただの「少年を装った大人」が書いた小説という評価しか得られないからだ。
ただ単に、自分の過去の回想録を当時の感性を思い出しながら書く、というのでは不十分であり、それは少年少女が「かつて」持っていた、言語感覚に対する目新しさから生まれるクリティカルな言語センスから発露する言葉たちを拾い上げることは基本的にできない、という事実の証明でもある。
大江健三郎氏の「飼育」は、少年視点の語りなど無くとも、少年の生や、それに準ずる官能を表現し得たが、こちらははて、どうだろうか。


第四十九回受賞作(1963年)
わたしの評価 ★★

わたしの印象に残った選評 少年の対人感情があまり一本調子で、しかも不自然なところがあり、そのために読後の印象が不純になります。しかしいわゆる文化人のおかしな生態をかなり生き生き描きだした点に、ある新しさがあることはたしかで、候補作のうちでは、これを第一に推しました。しかし文句のない当選作とは云えません(中村光夫)
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